
「ChatGPTを使おう」と思っても、アプリを開くのが面倒で結局使わなくなった——そんな経験はありませんか?
AIは確かに便利です。でも、わざわざ専用アプリを開いて、プロンプトを打ち込んで、結果を待つという一連の動作は、意外とハードルが高い。特に忙しい日常の中では、「まあいいか」と諦めてしまうことも多いはずです。
そんな課題を根本から解決するツールが、海外で急速に人気を集めています。その名はClawdBot(クロウドボット)。
WhatsApp、Telegram、Discord、Slack、iMessage——あなたが普段使っているメッセージングアプリから、そのままAIエージェントに話しかけられる。これがClawdBotの提供する体験です。AIを「アプリを開きに行くもの」から「いつでもポケットにいるもの」へと変貌させる、まさにパラダイムシフトと言えるでしょう1。
本記事では、ClawdBotの技術的なブレイクスルー、競合との違い、そして日常生活を変える活用法まで徹底解説します。
ClawdBotとは?90秒でわかる基本
コアコンセプト
ClawdBotは、一言で言えば「パーソナルAIアシスタントゲートウェイ」です2。
従来のAIアシスタント(ChatGPTやClaude)は、それぞれの専用アプリやWebサイトを開いて使う必要がありました。ClawdBotは、この「壁」を取り払います。
- マルチチャネル対応: WhatsApp、Telegram、Discord、Slack、Signal、iMessage、Microsoft Teams、WebChat…12以上のメッセージングプラットフォームに対応2
- ローカルファースト: 自分のMac、Linux、Windows(WSL2経由)で動作。データは自分のマシンに残る3
- セルフホスト可能: VPSを借りれば月5ドル程度で24時間稼働。完全に自分専用のAI秘書が手に入る4
どう動くのか(アーキテクチャ概要)
ClawdBotの動作は、大きく3つのレイヤーに分かれます:

あなたがWhatsAppでメッセージを送ると、ClawdBot Gatewayがそれを受け取り、Piエージェントに渡します。Piは適切なLLM(Claudeなど)を呼び出し、結果を再びWhatsAppに返信する——このサイクルが、ほぼリアルタイムで回るのです2。
なぜ今ClawdBotが「アツい」のか — 技術的ブレイクスルー
ClawdBotが海外で人気を集めている理由は、単なる「便利さ」だけではありません。その裏には、いくつかの技術的イノベーションがあります。
ブレイクスルー①:Gatewayアーキテクチャ
ClawdBotの心臓部は、単一のWebSocket制御プレーンです2。
WhatsApp、Telegram、Discordなど、各メッセージングサービスはそれぞれ異なるプロトコルを使っています。WhatsAppはBaileys(WhatsApp Web Protocol)、TelegramはgrammY、DiscordはdiscordJS…通常なら、これらを統合するのは悪夢のような作業です。
ClawdBotは、これらの差異をGatewayレイヤーで抽象化。開発者やユーザーは、どのチャネルを使っているかを意識せずに、統一されたインターフェースでAIと対話できます。
ブレイクスルー②:Block Streaming
LLMの出力は長くなりがち。でも、WhatsAppには文字数制限があり、Discordには行数制限がある。どう対処するか?
ClawdBotは「Block Streaming」という技術でこれを解決しています5:
- LLMの出力をリアルタイムでモニタリング
- 段落や文の区切りで適切にチャンク分割
- 各プラットフォームの制限(WhatsAppの
textChunkLimit、DiscordのmaxLinesPerMessage)に合わせて送信 - コードブロックは途中で切らず、必要なら閉じ→再オープンでMarkdown構造を維持
結果として、どのプラットフォームでも自然な形で長文の回答が受け取れます。ユーザーは技術的な制限を意識する必要がありません。
ブレイクスルー③:Skills Platform
ClawdBotのエージェントは、**Skills(スキル)**によって能力を拡張できます6。
SkillsはSKILL.mdファイルで定義され、AgentSkills仕様に準拠。ClawdHubというマーケットプレイスから、ワンコマンドでインストールできます:
clawdhub install <skill-slug>Web検索、メール管理、カレンダー操作、ブラウザ制御、株価モニタリング…コミュニティが作成した多様なスキルを組み合わせることで、自分だけのカスタムAIアシスタントが構築できるのです。
さらに重要なのは、ClawdBotは自己改善が可能という点。エージェント自身が新しいスキルを提案・作成することもできます。
ブレイクスルー④:マルチエージェントルーティング
ClawdBotは、チャネルや相手ごとに独立したワークスペースとセッションを割り当てることができます2。
例えば:
- WhatsAppの個人チャットには「仕事用エージェント」
- Discordのゲームサーバーには「カジュアルエージェント」
- Telegramの家族グループには「ファミリーアシスタント」
それぞれが独立した文脈を持つため、プライバシーが保たれ、TPOに合わせた対応が可能になります。
競合との違い:なぜClawdBotを選ぶのか
「AIアシスタントならChatGPTやClaudeがあるじゃん」「LINE AIもあるし」——そう思った方も多いでしょう。ClawdBotは既存のAIサービスと何が違うのか、3つのカテゴリーと比較してみましょう。
比較①:ChatGPT / Claude / Copilot
まずは王道のAIアシスタントとの比較です。
| 観点 | ClawdBot | ChatGPT / Claude / Copilot |
|---|---|---|
| アクセス方法 | WhatsApp/Discord/Slack等から直接 | 専用アプリ/Webを開く |
| 対応プラットフォーム | 12以上のチャンネル | 基本的に1つ(専用UI) |
| データ保存場所 | ローカル(自分のPC) | クラウド(プロバイダー側) |
| カスタマイズ | Skills/OSS/フルシステムアクセス | GPTs等で限定的に可能 |
| セットアップ難易度 | 高(CLI必須) | 低(会員登録のみ) |
本質的な違い: ChatGPT/Claude/Copilotは「AIのところに行く」モデル。ClawdBotは「AIが来てくれる」モデルです。さらにClawdBotは、ファイル操作やシェルコマンド実行などフルシステムアクセスを持ち、カスタマイズの自由度が桁違いです7。
比較②:LINE AI
日本ユーザーにとって最も身近な比較対象です。
| 観点 | ClawdBot | LINE AI |
|---|---|---|
| 対応チャンネル | 12以上(WhatsApp/Discord/Slack等) | LINEのみ |
| エコシステム | オープン(OSS) | クローズド(LINE限定) |
| 機能拡張 | Skills/プラグインで自由に拡張 | LINE提供機能に限定 |
| データ主権 | 完全にユーザー側 | LINEヤフーのサーバー |
| 日本語対応 | 良好(LLM依存) | ネイティブ対応 |
本質的な違い: LINE AIは「LINEの中だけでAIを使う」モデル。とても手軽ですが、LINEエコシステムに閉じています。ClawdBotは「どのチャットからでもAIが使える」うえに、データは自分で管理できます。
ただし正直に言うと、ClawdBotはLINE非対応(2026年1月時点)。LINEがメインの方には現状ではLINE AIの方が現実的な選択肢です。
比較③:Slack AI / Discord Bot
仕事やコミュニティでSlack/Discordを使っている方向けの比較です。
| 観点 | ClawdBot | Slack AI / Discord Bot |
|---|---|---|
| プラットフォーム横断 | ✅ 全チャンネル共通のAI | ❌ 各プラットフォーム専用 |
| 統合体験 | 1つのAIがどこにでも | バラバラのBot群 |
| 記憶の共有 | ✅ 全チャンネルで文脈を保持 | ❌ プラットフォームごとに分断 |
| カスタマイズ | Skills/OSS/フルアクセス | プラットフォームAPIに依存 |
本質的な違い: Slack AIやDiscord Botは「そのプラットフォーム専用のAI」。ClawdBotは「すべてのプラットフォームを横断する、あなた専用のAI」です。仕事ではSlack、プライベートではDiscord、家族とはWhatsApp——すべてで同じAIアシスタントが使えるのは、ClawdBotならではの体験です8。
ClawdBotの独自ポジション
結局のところ、ClawdBotが狙っているのは既存サービスとは異なる領域です。
- ChatGPT/Claude/Copilot → 「高性能なAI」を提供
- LINE AI → 「手軽なAI」を提供
- Slack AI/Discord Bot → 「プラットフォーム統合AI」を提供
- ClawdBot → 「あなた専用の、どこにでもいる、自分で管理するAI」を提供

もう一つの決定的な違いはデータ主権。クラウドサービスでは、会話データはプロバイダーのサーバーに送信されます。ClawdBotなら、すべてのデータは自分のマシンに残り、外部に送信されるのはLLM APIへのリクエストのみ(これも自分のAPIキーを使用)。プライバシー重視派には大きなアドバンテージです9。
日常がこう変わる:ClawdBot活用シナリオ
ClawdBotは単なる「チャットボット」ではありません。日常のあらゆる場面で、常に手元にいるアシスタントとして機能します。ここでは実際の活用シナリオを紹介します。

🌅 朝のブリーフィング
ClawdBotのCron Jobs機能とVoice Wakeを組み合わせると、毎朝決まった時間にAIから声がかかります10:
「おはようございます。今日の天気は晴れ、最高気温18度です。10時からデザインレビュー会議、14時にクライアントとのコールが入っています。昨日のニュースでは、OpenAIが新モデルを発表しました。詳細をお伝えしましょうか?」
スマホを見なくても、音声だけで一日のスタートに必要な情報がインプットされる。これがプロアクティブAIの力です。
💼 会議中のリアルタイム補助
会議中に急に調べ物が必要になった——そんな場面で、ラップトップを開いてGoogle検索するのは不自然ですよね。
ClawdBotなら、ポケットのスマホからWhatsAppやSlackでこっそり質問できます:
「競合A社の最新の資金調達額を教えて」 「この議題に関する社内ドキュメントを探して」 「今話している内容を3行で要約して」
回答は数秒で返ってきます。あなたは会議に集中しながら、必要な情報を即座に手に入れられるのです。
💻 開発者ワークフロー
ClawdBotはブラウザ制御やファイル操作が可能なため、開発者にとっては超強力なペアプログラミングパートナーになります11:
- 「このエラーログを解析して」
- 「テストを実行して結果を報告して」
- 「このPRのコードレビューをして、問題点をリストアップして」
- 「この機能の実装案を3つ考えて、コードスケルトンを作成して」
TelegramやDiscordからいつでも呼び出せるので、IDEから離れていても開発を進められます。
👨👩👧👦 家族との情報共有
ClawdBotはグループチャットでも使えます。メンション(@clawdなど)で呼び出せば、家族全員が同じAIアシスタントを共有できます:
「@clawd 来週末の沖縄旅行、おすすめのホテルを3つ教えて」 「@clawd このレストラン、子供連れでも大丈夫?レビューを調べて」 「@clawd 今日の夕飯の買い物リストを作って。冷蔵庫には鶏肉と玉ねぎがあるよ」
家族のWhatsAppグループがそのまま「共有AIアシスタント」になる——これは新しい体験です。
導入ハードルと注意点(正直に)
ClawdBotは強力ですが、万人向けではありません。導入前に知っておくべき課題を正直にお伝えします。
技術的ハードル
ClawdBotのセットアップにはCLI操作が必須です12。npm install -g clawdbot、clawdbot onboardといったコマンドを叩く必要があります。
また、Node.js 22以上が必要で、Windowsの場合はWSL2(Windows Subsystem for Linux)経由での実行が推奨されています。「ターミナル?何それ?」という方には、現時点ではハードルが高いかもしれません。
さらに、ドキュメントが開発速度に追いついていない部分もあり、「書いてある通りにやっても動かない」という声もあります。アーリーアダプター向けのソフトウェアである点は認識しておきましょう。
コスト構造
ClawdBot自体は無料(OSS)ですが、LLMのAPI料金は発生します13。
ClawdBotはAnthropic(Claude Pro/Max)やOpenAI(GPT-4o)の利用を推奨しています。これらの月額サブスクリプション、またはAPIの従量課金がランニングコストになります。ヘビーに使えば月数十ドルになることも。
VPSでホストする場合は、さらに月5〜10ドル程度のサーバー費用がかかります。
セキュリティリスク
ClawdBotはデフォルトでフルシステムアクセスを持ちます。ファイルの読み書き、シェルコマンドの実行、ブラウザの操作…これは強力な反面、リスクでもあります12。
DM Policy(ダイレクトメッセージのポリシー)設定が緩いと、悪意のある第三者からのメッセージにAIが反応してしまう可能性も。公式のセキュリティガイドラインを必ず確認し、clawdbot doctorコマンドで設定をチェックすることをお勧めします。
日本特有の課題
残念ながら、LINEには非対応です(2026年1月時点)。日本でのメッセージング主流がLINEである以上、日本ユーザーにとってはこれが最大のネックかもしれません。WhatsAppやTelegram、Discordを使っている方であれば問題ありませんが。
これからのClawdBot:ロードマップと可能性
ClawdBotは現在も活発に開発が続いています14:
- 238人のコントリビューターがGitHubで開発に参加
- 31回のリリースが既に公開
- 2025年末からJ-curve成長を記録しているとの報告
開発を率いるのはPeter Steinberger氏(@steipete)。元PSPDFKitの創業者で、iOS開発者コミュニティでは著名な人物です。
2025〜2026年にかけて、「AIアシスタントがスマートフォンのように普及する」という予測が広まっています15。ClawdBotは、そのビジョンを先取りした存在と言えるでしょう。
ローカルファースト、セルフホスト、プライバシー重視——これらのトレンドが加速する中で、ClawdBotのようなツールの需要は今後さらに高まるはずです。
まとめ:ClawdBotは「AIとの新しい関係」の入り口
ClawdBotが提示しているのは、単なる「便利なツール」ではありません。AIとの関係性そのものの再定義です。
- Before: 専用アプリを開く → プロンプトを打つ → 結果を見る
- After: いつものチャットアプリで話しかける → AIが応答 → そのまま会話を続ける
この違いは小さく見えて、実は決定的です。AIが「わざわざ使うもの」から「いつもそばにいるもの」に変わった瞬間、活用の幅は爆発的に広がります。
もしあなたが…
- ✅ WhatsApp、Telegram、Discord、Slackを日常的に使っている
- ✅ CLI操作に抵抗がない(または学ぶ気がある)
- ✅ プライバシーとデータ主権を重視している
- ✅ AIをもっと日常に溶け込ませたい
…なら、ClawdBotは試す価値があります。

次のステップ:
- 公式ドキュメントでGetting Startedを読む
npm install -g clawdbot && clawdbot onboardでセットアップを始める- 最初は1つのチャネル(Discord推奨)だけ接続してみる
AIを「使いに行く」時代から、AIが「いつもそばにいる」時代へ。ClawdBotは、その入り口を開いてくれるツールです。
参考文献
Footnotes
ClawdBot Official Docs - Getting Started ↩
YouTube Review - VPSホスティングコスト解説 ↩
ClawdBot Streaming Docs - Block Streaming仕様 ↩
ClawdBot Skills Docs - Skills Platform仕様 ↩
MacStories Review - 「革命的パーソナルAI」評価 ↩
Web Search Results - 競合比較(Respond.io等) ↩
Privacy-first AI trends - ローカルファーストAIトレンド ↩
ClawdBot Cron Jobs Docs - 自動化機能 ↩
ClawdBot Browser Control Docs - ブラウザ制御機能 ↩
ClawdBot Security Docs - セキュリティガイドライン ↩ ↩2
ClawdBot Models Docs - モデル設定・料金 ↩
GitHub Contributors - 開発活動 ↩
2025-2026 AI Trends - セルフホストAI成熟予測 ↩
